前項で書いたようなICカードの登場もあって、スルッとKANSAIの販売枚数は減っています。もちろん少子高齢化などで公共交通機関の利用者数そのものが減っていることも加味しなければなりません。しかし廃止しなければならないほどに減ってしまったのでしょうか?

 

1985年に国鉄が発売を開始し、87年の民営化時にはJR各社が引き継いだオレンジカードのケースを見てみると、JR東日本管内では1991年には327億円の売り上げがありましたが、2006年には13億円にまで減少しました。その後、2010年には4億円となってしまい、2013年には発売を終了しました。2006年は1991年と比較すると約4%、2010年は1991年と比較すると1%です。他方、スルッとKANSAIの売り上げ枚数は2005年が4515万枚で、2015年が1190万枚なので、2015年は2005年の26%だったことになります。しかし、26%しかないのではなく、まだ26%もあると解釈することもできます。さすがに私も最盛期に比べて1%しか売れていないのであれば、このようなページを設置することはありません。

 

乗客の自発的な意志に基づいて、自然な流れの中で磁気カードからICカードへ移行するというのであれば理解できます。しかしスルッとKANSAIのように、まだ充分に利用されているカードを強制的に終了させてもICカードへ移行する動機付けにはならず、利便性が低下するのはもちろん様々な禍根を残すだけだと思います。

  

横道に逸れますが、公衆電話は設置台数が激減しましたが、完全に廃止されることはありません。テレホンカードも廃止されたりしません。どちらもスルッとKANSAIカードよりも使われていないだろうと推測します。

 

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